金木犀

玄関に早くも来たり秋の使者扉開ければ金木犀の香

お供え

人知れず亡くなりし人今頃に知りてお参り国葬揺れし日

秋のひまわり

コンクリの打ちっぱなしに映えたるは秋のひまわり忙しき医院

ぽつん

彼岸花にまぎれぽつんと咲く花の君はサフランモドキと言う名

景品

帰り来てゴルフの結果に消沈の夫をよそにぞ嬉しき景品

彼岸

さきがけて赤く色づく曼珠沙華秋よ秋よと彼岸花道

茹で玉子スライサー

お節介と思いしもつい茹で玉子スライサー使用自己流を言う

灯り

ランタンの南瓜と同じオレンジの灯りがぽっと心に灯る

チラシ

早々とお節のチラシ眼福の北の恵みにわれらの軍配

京都

えん餅に似て思い出す阿闍梨餅旅せし京都の懐かしきかな

野分

病葉の蜘蛛の糸にて下がりおり野分ゆらゆら吹き返す風

熊

獰猛なクマとか色々いるけれど南国しろくま恋しき暑さ

葛

隣より隙間這い来る葛の蔓盛夏過ぎてもなお盛んなり

夕顔

夕に咲く夕顔白く清らかに浮かぶ亡き人しみじみ偲ぶ

お月見

お月見にパンパスグラスの銀の穂の狐のしっぽのように揺れてる

梨

甘き水豊かにたたえ岩のよな大きく丸い梨の豊水

十六夜

月光のあまねく照らす十六夜を孫は撮りしとLINE送り来

段ボール

アマゾンの段ボールまた来るたびの物にはすべて捨てる場所あり

レモン煮

レモン煮の甘薯の旨し爽やかに青空天馬空行くごとし

初秋

ひんやりと喉通り過ぎ初秋の水饅頭の確かなる秋

白露

白露来てしらつゆ光る彼岸花ああ懐かしの藁葺きの屋根

『レペゼン母』

母としてわが来し方を振り返る『レペゼン母』のラップのバトル 韻を踏み怒りを溶かすラップなり母の息子の鎮魂の歌

木々

夏を告げ秋を知らせて鳴く蝉の声せず木々は野分を過ぎる

玄関

柔らかな施術を受けて玄関の菊の小花に癒され帰る

温泉

ぶり返す暑さはもはや夏でなく苔むす庭の鄙びた温泉

てくてくと

てくてくと正解のない道を行くときにはガムを噛み締めながら

台風

出穂する稲の実りの確実に大型台風まえの静けさ

秋

出張の夫の買い来しお土産の秋の味覚を纏うひと口